「風になれるなら」は、伊藤の中では「幸せにさよなら」の発展形だとし、「あの延長線上に来る曲が欲しいなって思って、ほぼ最初に作ったのが<風になれるなら>でしたね。シュガー・ベイブの流れにあることも表現したかったし、特に“風になれるなら”っていう部分の詞が出来たときに大貫妙子さんの声で“風”を表現したかったんですね。これは詞と曲がほぼ同時進行でした。何も考えずにあのイントロが出来たんですよね。それも僕がギターで作って、それを緒方(泰男)君に伝えてピアノで表現してもらいました。『デッドリイ・ドライブ』の共同プロデューサーであった柏原卓の“テイク・ワン”という事務所は山下洋輔さんとかジャズの関係の方もマネージメントしていたので、そういうこともあって柏原卓が“間奏にはソプラノ・サックスっていうのもいいぞ”ってアドヴァイスしてくれたんです。それで高橋知己というサックス・プレイヤーを紹介してくれたんです。僕は面白いと思えば何でもやってしまう方なので、それでやってみたら凄く面白かったんです。ウェイン・ショーターが入っているような感じですよね」[1]という。また、当時流行っていたボズ・スキャッグスの「ロウ・ダウン」にインスパイアされて作った曲だともいう。ある日友達と話しているときにふっと“風になれるなら”って頭に浮かび、それで作ったという。シングル・ヴァージョンでは間奏のソプラノ・サックス・ソロをカットし、代わりに“風になれるなら 君に届けたい〜君を追いかけて”の歌詞が追加され、エンディングも30秒ほど短く編集された。このシングル・ヴァージョンは後に東芝EMI在籍時の楽曲を集めた伊藤のベスト・アルバム『“CHANGES” History of GINJI』に収録されたほか、『DEADLY DRIVE』の24bitデジタル・リマスタリング、紙ジャケット仕様再発盤にボーナス・トラックで収録された。また、24bitデジタル・リマスタリング、紙ジャケット仕様で再発されたミニ・アルバム『POP STEADY #8』には、“Live Version”がボーナス・トラックで収録された。